リゾートについて語るときに我々の語ること

今回ご紹介するのは、沖縄本島、名護市の喜瀬カントリークラブ。そう、ゴルフ場である。実は、ここには宿泊施設があり、ゴルフ場の利用がなくても宿泊できる。ゴルフには全く関心がない我々だが、ここの宿泊施設には大いに心惹かれるのだ。 ゴルフコースの片隅に点在するのは、広々とした2ベッドルームヴィラ。しかもプライベートプール付という豪華さである。元々ヴィラタイプのアコモデーションが少ない沖縄において、プライベートプールつきのヴィラは、片手に少し余る程度しか思い当たらない。しかも、それらはホテルでも特別な部屋である場合がほとんどで、宿泊代金は目玉が飛び出るような金額だ。それが、ここ喜瀬カントリークラブでは、比較的お得な料金で宿泊できるのだ。 実はこのヴィラは、併設するホテル、喜瀬別邸(現リッツ・カールトン)の最上級カテゴリだったのだ。他ホテルの例に漏れず、その宿泊料金も恐ろしいほどの金額だったと記憶している(確か30万は優に超えていたと思う)。それが、いつの頃からかカントリークラブの持ち物になり、宿泊料金もぐっと下がった。沖縄のプール付ヴィラの中では、最安値ではないだろうか。 喜瀬別邸の頃は、憧れつつも、その宿泊料金に諦めざるを得なかったヴィラ。期待に胸躍らせつつ、我々は飛行機に乗り込んだのだった。

那覇空港に降り立った我々は、予約しておいたレンタカーに乗り込む。色々寄り道したい気持ちを抑えて真っ直ぐ喜瀬カントリークラブへ。リゾートで過ごす時間を少しでも長くするために、寄り道などはしていられないのだ。 沖縄自動車道を一気に北上し、許田インターから58号線を少し戻る。ブセナテラスに入る交差点を逆に入っていった所が喜瀬カントリークラブだ。 長い坂を登り切ると、右側に赤い屋根の建物が点在している。これが我々の泊まるヴィラだろうか。左側には喜瀬別邸(現リッツ・カールトン沖縄)が見える。ここには是非泊まってみたいが、子供お断りなので望むべくもない。沖縄のランクが高いリゾートは子供お断りが多く、旅行計画を立てる時にはいつももどかしい思いをする。これらのリゾートが全部子供OKなら、随分選択肢も広がるのだが。 ゴルフコースの間を通る道を進んでいくと、クラブハウスに到着。チェックインはここに行けばいいのだろうか。 ホテルのように、出迎えのスタッフはいない。車を降りてクラブハウスに入っていくと、ゴルフの受付カウンターが。ここでチェックインの手続きを行うことができた。ウェルカムドリンクとかはないけど、まぁ仕方ないか。 スタッフに先導されて、来た道を戻る。やはり、先ほどの赤い屋根がヴィラだったようだ。 ↓航空写真で見ると、赤い屋根の建物が点在しているのがわかる。(拡大してください。) 北側に見えるのが喜瀬別邸。 さぁ、いよいよヴィラへ入ろう。

今回は、ヴィラの様子をご紹介する。 ヴィラの扉を開けると、まずはエントランス。ちょっと変な人がいますが…(笑)。 奥に見えるのが、外から入ってきた扉。両側にベッドルーム。手前はリビングルームだ。 ベッドルーム。ツインのベッドと、正面に大型テレビ。手前側にはクローゼットとバスルームへの扉がある。 バスルームは広々していて、洗面用のシンク、バスタブ、シャワーブースとトイレ、さらにアウトドアシャワーへ出られるドアがある。 エントランスを挟んだ逆側にも、全く同じベッドルームとバスルームがある。 続いてリビングルームに行ってみよう。 ゆったりした作りで、シッティングスペースも十分。(散らかっていてスイマセン…。) ここにはテレビがないが、CDプレイヤーがある。(左奥の棚の中) 奥に見えているブラインドの下りた窓は、ベッドルームのものだ。 こちら側の窓は、すぐ外がプールだ。この作りはいい感じ。 テラスからは、遠くに海を臨むことができる。

喜瀬CC最初の夕飯は、ヴィラでのプライベートバーベキュー。 スタッフがヴィラへ来てセッティングしてくれる。このテラスは少し暗いので、ライトも取り付けてくれた。夕日が海に落ちてきていい感じ。 さぁ、焼いていこう。 リビングのソファがゆったりしていて過ごしやすいので、外で焼いてソファで食べるスタイルに。 さらに日が落ちてきた。ここからの眺めもなかなかだ。 夜はプールがライトアップされる。夜でもこのヴィラは美しい。

2ベッドルームを3人で贅沢に使い、十分睡眠を取った我々。翌朝の朝食は、クラブハウス併設のレストランへ。 朝食のメニューは、普通のホテルにあるような、洋食か和食どちらかのセット。朝は大抵ガラガラなので、好きな席を選んでゆっくり食べる。 ※この写真は、いつかの夕食 食後には、クラブハウスのテラスに出てみた。広いテラスで長男くんも大喜びだった。遠くに見えるピンク色の建物は、マリオットだ。 このクラブハウスは、喜瀬CCの中でも一番高い所にあるので眺めもいい。 こちらには喜瀬別邸が見える。 天気も最高。気分がいいね。ゴルフコースビューも悪くない。 このレストランは、もちろん昼食も夕食もOK。味はそこそこだが、ホテルのダイニングより格段に安い。我々の場合、外のレストランを探すのが面倒だったりするので、よくここを利用した。ブセナテラス等、周辺のホテルに宿泊している場合でも、悪くない選択肢だと思う。 ただひとつ気になるのは、ディナーの時間帯にはゴルフコンペの打ち上げが行われていることが多く、かなりうるさい。そこはやはりゴルフ場。ホテルとは違うところだ。子供がいなければ、喜瀬別邸のレストランを利用するのもいいだろう。

さぁ、天気がいいのでプールで泳ごうか。 長男くんは、池とプールの区別がついていない。「お水があるよ～」 家から持ってきた「プライベートプール」も一緒に。 「ボクはこっちでいいんだけど…」 一緒に入ろう。テラス側には階段があって、出入りには便利。 嬉しそうに手足をバタバタさせる長男くん。 ヴィラの柱が1本プールの中にはみ出している。このあたりは屋根の下にあたる。 思っていたよりはるかに広い。 う～ん、気持ちいい。

居心地のいいヴィラにこもりっきりの我々。せっかくレンタカーもあるし、ちょっとは外出してみようか。 喜瀬CCのヴィラは、エントランスのすぐ近くに車を止めておける。出かけるときは、いちいち駐車場に行ったり、スタッフに車を出してもらわなくていいので楽チンだ。 まずは、すぐ近くのビーチへ。 ミルキーなブルーが美しい。我々は沖縄のビーチは宮古島が一番だと思っているが、本島もなかなか。 長男くんは初めて見た波の動きに興奮。 さて、次に我々が向かったのは、これまたすぐ近くのリゾートホテル。ブセナテラスだ。 部瀬名岬をまるごとリゾート化したこのホテル。部屋の広さ、デザイン重視の我々からすると、宿泊の候補にはなかなか入ってこないものの、パブリックスペースの美しさはなかなかのもの。 さらに、このホテルにあるショップ「テラススタイルフォーリビング」では、我々が愛して止まない「ジェンガラケルミック」の食器が販売されているのだ。 ジェンガラは、バリ発のリゾートテーブルウェアブランド。ここブセナテラスでは、ここでしか買えないオリジナルコラボ商品が置かれている。何よりも、これを目当てにブセナテラスに来たのだった。 思う存分買い物を楽しんだ我々は、ラウンジ「マロード」で一休み。アジアンリゾートのような、開放的で爽やかな空間を楽しんだのだった。

続いて我々が向かったのは、ブセナテラスの隣、部瀬名岬の突端に位置する万国津梁館。万国津梁館は、サミットが行われたことで有名なコンベンション施設だ。施設の利用の他、サミットで使われたホール等を見学することができる。 とはいえ、我々の関心は当然そんな所にはない。ここには、部瀬名岬の海が一望できる絶景カフェテラスがあるのだ。 施設内の奥まった場所に、小さな看板。このカフェテラスは、ちょっと目立たないところにある。訪れる人は多くないので、絶景を思う存分堪能できるのだ。 テラスから見えるこの景色…！ため息が出るほど美しい。 手前に見えるのは、ブセナテラスのヴィラ。ここにも是非宿泊してみたいのだがお値段が…。 部瀬名岬の海は沖縄本島でも屈指の美しさ。この時は、他に客がいなかったので、この景色を独り占めできた。 長男くんは、着くなり寝てしまった。我々は彼が眼を覚ますまで、のんびりと過ごしたのだった。何しろこの景色。何時間いても飽きないのだ。

リゾートでの滞在も、いよいよ最終日。しかし、この日沖縄には台風が近づいていた。 朝からテレビで情報収集すると、我々の帰路便が出る頃はちょうど直撃する頃。航空会社に電話すると、やはり欠航になったという。さてどうしようか。 この日は8月31日。夏休み最後の日だ。明日から学校が始まるので、空港は沖縄から脱出しようとする人々であふれかえっているようだ。我々とはいえば、長男くんはまだ一歳だし、明日の仕事は休みにしていた。あせって帰る必要もないね、ということで、早々に延泊を決定。問題は、どこに泊まるかということなのだが…。 我々のヴィラは1泊7万5千円。台風をやり過ごすための1泊と考えると、ちょっと高い。スタッフに相談すると、クラブハウスにも部屋があるので、そちらであれば宿泊費も安く抑えられる。さらに、台風が来ている間は外に出られないので、クラブハウスが何かと便利だという。 でも、移動が面倒だし、できればこのままヴィラにいたい。どうせ移動するなら、那覇のホテルを取るという手もある。迷っているとスタッフから連絡があり、台風なので特別に1泊5万でOKだという。それでも高いけど、このへんで手を打っておこう。我々は、ヴィラへの延泊を決めたのだった。 その日はほとんど外出せず、ヴィラで過ごす。夕方になると、風が強くなってきた。台風はすぐ通り過ぎるようだし、夕食はその後でいいか。 いよいよ台風も本番。雨と風の音が物凄い。 さらに風が強くなってきた。 周りの木々から、枝と葉が飛んできて窓にぶつかる。 日も落ち、辺りは真っ暗。ヴィラの窓に枝がぶつかる音が室内に響く。窓が割れてしまったら…と一瞬恐怖が襲ってくる。テレビの情報によると、名護周辺では大規模な停電が起こっているらしい。喜瀬CCの辺りも停電の範囲だが、我々のヴィラはなぜか電気がついている。 我々を心配してくれたスタッフが、嵐の中様子を見に来てくれた。クラブハウスは停電しているらしい。このヴィラは、元喜瀬別邸だったこともあり、発電装置のある別邸から電気を引いているようだ。クラブハウスに移らなくてよかったのかもしれない。 スタッフが持ってきてくれた大量のお茶(30本以上はあった)を飲みながら台風が通り過ぎるのを待つ。そういえば夕食を食べていない。停電してしまったから、もう店はやってないだろうな。今更ながら、沖縄の台風を甘く見ていたことに気づく我々なのだった。

夜9時頃だっただろうか。雨と風が止んで、辺りが静かになった。台風はもう過ぎたようだ。お腹も空いたし、少し外の様子を見てみることにした。とはいえ、まだ危険があるかもしれないので、ママと長男くんはヴィラに残し、一人で車に乗り込む。 外は飛んできた木の枝が散乱している。ところどころ、倒れて道路に横たわっている木を避けながら進む。まだ停電は復旧していないようで、58号線沿いも真っ暗だ。 どう考えても、飲食店が営業しているようには思えないので、コンビニを探してみる。最寄のコンビニが見えてくるも、やはり電気は消えている。やっぱり営業していないようだ。と、店の中から小さな明かりが見える。あれは何だろう？ 車を駐車場に止めてみると、店の自動ドアが開いている。中に入ってみると、何と、暗がりの中に店員がいる。近づいていくと、懐中電灯を渡される。どうやら、停電の中でも営業しているようだ。 停電で冷蔵庫が使えないので生ものは販売していない。それでも、パンとカップ麺を買うことができたのだった。さすが沖縄、台風でも停電でも営業してしまうとは。 さて、翌朝明るくなった外を見てみると…。 窓には木の葉が張り付いている。 プールの隅には木の枝や葉が浮いている。 テラスにも飛来物が…。 隅には飛来物が集まっていた。 今回初めて沖縄の台風を体験した我々。想像以上の恐怖を感じたが、沖縄の逞しさも感じることができた。