リゾートについて語るときに我々の語ること

那須高原の老舗旅館、山水閣が創業65周年で開業したのが別邸・回。森の中に佇む、静かな和のリゾートだ。わずか8室の客室と、離れから構成されるこのリゾートは、全室源泉掛流しの専用露天風呂がついた豪華な仕様となっている。 客室は、それぞれが特徴のある造りで、間取りもデザインも部屋ごとに異なっている。どの部屋にしようか迷うのも楽しいし、また別の部屋でリピートしたくなる。 レトロでありながら、どこか新しい。こだわりの感じられるデザインは、これまでの温泉旅館にはなかった新しいコンセプトを感じさせる。 周囲を森に囲まれた静かな環境や、アンティークの椅子が並べられたラウンジなど、落ち着いた雰囲気が漂う大人の空間。日頃の忙しさを忘れ、心からリラックスできるこのリゾート。「Reset Resort」と自称するにふさわしい空間だ。 木々が紅葉に色づき始める10月。我々はこのリゾートに滞在した。生後9ヶ月を迎えた長男くんを連れての初めての旅行でもある。

今回は、別邸・回の部屋を紹介する。 我々が宿泊したのは、「其の六」。別邸・回の部屋は、「其の壱」から「其の八」という、番号だけの名前になっている。 部屋の入り口である引き戸を開けると…。さっそく和モダンな雰囲気が漂っている。 入り口をくぐると長い廊下が見える。この廊下は、主室と寝室にそれぞれつながっていて、突き当たりは洗面所になっている。洗面所からは、露天風呂のあるバルコニーへと出ることができる。 主室はシンプルな和室だが、古材を利用した立派な梁が印象的だ。 寝室は大きなローベッドで占められている。そしてなぜかミニバーもここにある。コーヒーメーカーがあるのは嬉しいが、寝室でミニバーを利用することはないので、ちょっと使いづらかった。 次回は、部屋付の露天風呂をご紹介する。

「其の六」の露天風呂は、バルコニーにある。長い廊下を抜けた先の洗面所から、シャワーブースを経由してバルコニーに出られる。 ゆったりとした浴槽は、大人3人くらいは一緒に入れそう。この部屋は2階にあるので、この露天風呂からは、山水閣の中庭が見渡せる。中庭の木々は紅葉し始めている。風が吹くと、木々が揺れてサァーという音が聞こえてくる。静かな中、木々の揺れる音だけを聞きながら温泉に浸かっているこの時間は最高に癒される。 肌の弱い長男くんは、念のため温泉には浸からないようにしていた。シャワーブースのお湯は温泉ではないので、不便はない。 実は「其の六」の部屋は、エントランスのちょうど真上に位置する。だから、この露天風呂の下には、それなりに人が行き来するのだ。浴槽に浸かろうとしてバルコニーを歩いていると、下を歩いている人から丸見えになってしまう。 これは、特に女性は気になる点だろう。せめて浴槽の位置をもっと低くする等の工夫をした方がいいと思う。

早速ではあるが、別邸・回のまとめに入る。 ラウンジを始め、パブリックスペースももっとご紹介したいのだが、長男くんを連れているとあまり写真を撮ることができず、部屋の中以外の写真は全く撮っていなかったのだ。残念だが、次訪れた時の課題としたい。 さて、このリゾートについて特筆しておきたいのは、サービスの素晴らしさだ。普段我々があまり重視しないポイントではあるが、宿泊中、印象に残る事が何度もあった。幼児連れの我々には本当にありがたいことだったのだ。 まず、部屋にフタ付きのオムツ用ごみ箱が用意されていたこと。オムツは全て持ち帰るつもりだった我々にとって、本当に嬉しい驚きだった。また、部屋の低い位置にある割れ物や、幼児にとって危険なものが全て高い位置に置かれていた。スタッフに聞いて確かめたわけではないが、おそらくは意図的にやってくれたのだと思う。というのも、これ以降に訪れたリゾートでは、チェックイン後、まず部屋内の、これら危険物を子供の手の届かない位置に移動するという作業を行うのが恒例となっている。別邸・回では、この作業がほとんど必要なかったのだ。 また、部屋の露天風呂は、子供のためにあらかじめ温度がかなり下げられていた。これ以降に訪れた温泉旅館では、幼児には温度が高すぎてそのままでは入れず、水を入れて温度を下げる必要があった。ここでは、そんな必要は全くなかった。 さらに、食事中長男君が寝てしまったのを見るや、料理を持ってくるペースを遅らせてくれたのだ。長男君は寝ぐずりがひどく、寝かしつけは戦争のようになってしまう。食事どころではなくなってしまうので、正直料理は冷めてしまったものをまとめて食べるしかないと思っていた。しかし、この配慮のおかげで暖かい料理を食べることができたのだ。 スタッフには若い人が多く、ちょっとぎこちない感じもあるが、上記のように、その気配りの細やかさは素晴らしいものだった。 ソフト面のことばかり書いてしまったが、ハード面も申し分ない。特に、その静かな環境の中、木々が風に揺れる音を聞きながら入る露天風呂は、月並みな表現だが本当に癒された。「Reset Resort」の名に偽りなしだ。