さて、ヴィラの紹介に入る前に、ギリ・ランカンフシのヴィラの種類について、整理しておこうと思う。
ヴィラは大きく分けて以下の3種類。
1. ヴィラ・スイート
2. レジデンス
3. クルーソー・レジデンス
この他に、1室だけ「プライベートリザーブ」があるが、これは島から少し離れた海上に浮かぶ、1400平米という異次元の広さを持つ特別な部屋だ。
さて、上記の3種類は、実は大きな違いがない。
ヴィラ・スイートが少し広さで劣るものの、間取りや構造はほとんど同じ。
何が違うかというと、ロケーションの違いが大きい。
一番下のカテゴリであるヴィラ・スイートは、ジェッティの根本部分にあり、景観で少し劣る。
レジデンスは、ジェッティの先端部分にあり、海を広く眺められる位置にある。
そして、クルーソー・レジデンスはジェッティにつながっておらず、船でのみ出入りできる。
船で出入りするのは面倒そうだが、その分ほぼ360度海を眺める事ができるという、特別なロケーションなのだ。
さらに、ヴィラ・スイートとレジデンスには、ヴィラ内でスパのトリートメントが受けられるスパ仕様のヴィラが1つずつ存在する。
今回我々がアサインされたスパ・レジデンスは、レジデンスのスパ仕様バージョンというわけだ。
それでは、そのスパ・レジデンスをご紹介する。
ヴィラのエントランスには、自転車が置かれている。
ギリ・ランカンフシは、リゾート内を自転車で移動するのだ。
うちの長男くんは、まだ自転車に乗れないので、この三輪車の荷台に乗せて移動する事になった。
ヴィラに入ると、まずはリビングルームとなっている。
部屋の真ん中にはガラスの床。
ここから下の海を見られるようになっているが、魚の姿はあまり見えなかった。
ダイニングテーブル。
これだけ部屋が広いと、テーブルがあっても狭く感じない。
この照明がおもしろい。
テレビと、その横にワインセラー。
デイベッドは、子供用にエクストラベッドになっていた。
こちらには大きなソファ。
これも最初はエクストラベッドになっていたが、1歳の子供をここで1人寝かせるわけにいかないので、ソファに戻してもらった。
シッティングスペースの上にはファンがあって涼しい。
電話には、ミスター・フライデーを始め、色んな所にダイレクトでかけられるボタンがついている。
ミスター・フライデーというのは、滞在中なんでも相談できるヴィラ付のスタッフだ。
レストランやスパの予約、ルームサービスや備品の交換等、どんな用事でもミスター・フライデーに連絡すればよい。
ただし、多くのリゾートで取り入れているバトラーとは違い、単に統合連絡窓口といった感じ。
ミスター・フライデーに何かを依頼しても、行動するのは、彼から連絡を受けた別のスタッフなのだ。
我々を担当してくれたのは、日本人スタッフのモモコさん。(女性なので、ミス・フライデーだ。)
日本人ゲストには、日本人がつく事になっているのかもしれない。
全室水上ヴィラという、思い切った構成のこのリゾートは、一番安い「ヴィラスイート」でも210㎡という広さを誇る。モルディブでも屈指の広さを持つ水上ヴィラなのだ。
そしてなんといっても有名なのは、「クルーソー・レジデンス」。ヴィラへは桟橋がつながっておらず、海にぽつんと浮かんでいるような状態。出入りには船を利用するしかない。完全なプライベートが約束されたヴィラなのだ。
つい昨年まで、このリゾートは「ソネバギリ」という名前だった。
今や世界中にリゾートを展開するソネバリゾートの1つだったのだが、昨年突然傘下を離れ、「ギリ・ランカンフシ」になったのだった。
今回、リゾートを選ぶにあたって、実は最初このリゾートは除外していた。ソネバを離れた事で、リゾートがどう変わっていくのか、それを見極めてから訪れたいと思っていたのだ。
ところが、施設・客室を始め、リゾートのコンセプトからスタッフに至るまで何も変わらないという。あの「No News No Shoes」もそのままだ。
それならばと、5年ぶりのモルディブ訪問の場として選んでみる事にした。
幼児連れという事で、下記の条件に当てはまるリゾートを選ぼうとしていた我々にとって、ぴったり条件に当てはまる事も大きな理由だ。
・マーレから至近
・日本人スタッフがいる
・ホスピタリティに定評がある
小さな子供を連れていると、やはり怖いのが突然の病気や怪我。そんな時首都マーレに近いのはやはり安心だ。首都には大きな病院もあるし、急遽日本に帰るなんて状況でも素早い行動が期待できる。
それから、我々はこれまで日本人スタッフの存在はあまり重視してこなかったが、幼児がいると、もしもの場合を含め、スタッフに細かい注文をしなければいけない事が出てくると予想される。そんな時に日本語が使えるのはやはり安心だ。
そして最後にホスピタリティ。ソネバギリ時代から、同リゾートのホスピタリティには一定の評価がある。スタッフのほとんどが残留しているという事で、その点は安心できると考えたのだった。
今回で三回目となるモルディブ訪問。今回は初めてシンガポール航空を利用。さらにフライトスケジュールも工夫してみた。
・往路
①SQ637 NRT 11:10 - SIN 17:20
--- シンガポール一泊 ---
②SQ462 SIN 10:05 - MLE 11:35
・復路
①SQ461 MLE 14:20 - SIN 22:05
--- シンガポール一泊 ---
②SQ012 SIN 9:25 - NRT 17:30
全て昼便にし、乗り換え地のシンガポールで往復ともに一泊というスケジュールだ。
これまでのモルディブ旅行では、往路は深夜着、復路は機中泊の夜便で、移動による疲労が大きかった印象がある。
今回は子連れという事もあり、なるべく移動に余裕を持たせ、余分な体力を使わないようにする狙いだ。
特に小さな子供にとって、深夜着や夜便は大きな負担となる。
彼らにとって、正しいリズムで、適切な長さの睡眠を取る事は何より重要な事である。
だから、旅行中も彼らの睡眠をきっちりとマネジメントする事が、楽しくストレスのない旅行にするための大きなポイントとなる。
普段は割と言う事を聞いてくれる我が家の子供たちも、睡眠が足りていない時は一変する。
言う事を聞かないばかりか、ちょっとした事ですぐ機嫌が悪くなり、小さな事に難癖をつけて騒ぎ始める。
泣き始めたりしたらもう手がつけられない。
フライト中をそんな状態で過ごすのは、子供にとっても親たちにとっても大きなストレスとなる。
それを避けるために、このスケジュールを組んだというわけだ。
さて、飛行機はまず中継地シンガポールへ到着。
今夜の宿は、クラウンプラザ。
チャンギ空港直結なので、空港から外に出る事なく宿泊できる。
(写真は一度外へ出て正面入り口を撮ったもの)
チャンギ空港にはターミナルが3つあり、クラウンプラザがあるのはターミナル3。
我々が到着したのがちょうどターミナル3だったので、すぐにホテルへと移動できた。
もっとも、ホテルの入り口はターミナル間をつなぐスカイトレインの乗り場にも近いので、他のターミナルに到着した場合も便利だ。
さて、少し寄り道となるが、ここから少しクラウンプラザホテルをご紹介したいと思う。
こちらは、フロントのあるロビー。
ご覧の通り、デザイン性あふれる内装で、非常にスタイリッシュだ。
チェックインを済ませ、エレベーターで客室のある3階へ。
3階以上はルームキーを持っていないと上がれないようになっているので注意が必要だ。
こんな雰囲気のある廊下を歩きながら我々の客室へ。
この辺りはスパやフィットネスルームもあって、広々している。
ここが我々の部屋。
次回詳しくご紹介する。
まずはベッドルームからご紹介する。
ベッドの前にソファという、オースドックスな配置。ソファ部分も広く取られており、過ごしやすい。
幼児連れという事で、ベビーベッドも用意してくれた。
バスルーム側の壁が花柄なのが、非常に特徴的だ。カーペットの柄や窓の外の作りも合わせて、デザイン性あふれる雰囲気になっている。
窓からは空港のターミナル3が見える。
テレビはこちらの壁に掛けられている。
邪魔にならなくていい感じだ。
デスクもいい感じ。
続いてバスルーム。
ベッドルームとの間の壁は、ガラスになっていて、花柄になっているとはいえ丸見えになる。
気になるなら、ブラインドを下ろせば見えなくなるので安心だ。
アメニティは最小限という感じ。
このホテルには、帰りにも一泊した。部屋の窓からは、飛行機とスカイトレインが見え、子供たちは大興奮だった。
乗り換えのための一泊としては、十分すぎるほどで、とても居心地のいい部屋だった。
カッコいいデザインも気に入ったし、掃除が行き届いていて、どこを見ても清潔なのもいい。
空港からのアクセスもいいし、シンガポールでの乗り換えで宿泊するには最高のホテルだと思う。
都会的な建物とヤシの木が、なかなかいい雰囲気。
赤道に近いシンガポールは、夕方でもかなりの暑さ。飛び込みたい衝動に駆られる。
あの不思議な形のタワーは、空港の管制塔だろうか。
3階にあるこのプール。1階ロビーが見えるようになっている。
このガラスの部分はプールではないが、水が張ってあり、ロビーから見上げた時の眺めもなかなかのもの。
見上げると…。
リゾートのプールもいいけど、これもなかなか。
館内の照明は暗め。間接照明が雰囲気を出している。
都会的な建物の中に、緑をうまく取り入れているのが印象的。
エレベーターホールまでもカッコいい。
こちらはレストラン。
ビュッフェが基本だが、アラカルトもある。
味もなかなかのもので、夕食、朝食共にこちらで頂いた。
空港内には、こんなスペースもある。
これに比べると、成田空港がひどく無機質に見えてくる。
搭乗まで、ゲート前のスペースでしばし待つ。
同じ便の乗ると思われる人たちは、ほとんどが中国人。
我々がモルディブから遠ざかっていた5年の間に、中国人が随分増えたと聞いたが、これは想像以上だ。少しビビりながら飛行機に乗り込む。
約4時間半のフライトの末、飛行機はついにモルディブ・マーレへ到着。
冷房が効きすぎて寒い機内から、暑い外へ出たため、カメラの結露がすごい!
飛行機の横を歩いていくのも、この空港ならでは。
空港を出ると、すぐにスピードボートに乗り込む。
ボートは、海面をジャンプしながらものすごいスピードで進んでいく。
島ごとに役割が決まっているモルディブ。あれは工場の島だろうか。
しばらくするとリゾートの島が見えてくる。
水上ヴィラもあるようだが、どこのリゾートだろうか。
ん？見覚えのある風景が。
あれはギリ・ランカンフシの「One Palm Island」ではないか？
いつの間にかリゾートに到着していたようだ。
という事は、先ほど見えたリゾートは、お隣の「パラダイス・アイランド」だったようだ。
水上ヴィラも見えてきた。
あれは桟橋で島と繋がっていない「クルーソーレジデンス」だ。
船を降り、スタッフたちに迎えられる。
早速ウェルカムドリンクのココナッツジュースが提供される。
海を眺めながら、しばし休憩。
この先の滞在に期待が膨らむ。大好きな一瞬だ。
ウェルカムドリンクを頂いた我々は、いよいよリゾートの中へ。
…その前に、靴を脱いでこの袋に入れてしまおう。
そう、ここのコンセプトは「No News No Shoes」。
リゾート滞在中は靴を脱ぎ捨て、裸足で過ごすのだ。
ソネバギリの頃からのこのコンセプトは、ギリ・ランカンフシになってからも健在だ。
実は我々、以前のモルディブ滞在で、これを試してみた事がある。
しかし、珊瑚のかけらが多いビーチの砂は痛く、強烈な日差しを受けたジェッティは熱く、すぐに靴を履いてしまった。
今回は恐る恐る試してみたが、砂は柔らかくて、ジェッティはあまり熱くなかった。天気が悪かったせいかもしれないが。
さて、アライバルジェッティを歩き、島へと向かう。
島に上陸した後は、スタッフの運転するバギーでヴィラへ。
ギリ・ランカンフシは、全室水上ヴィラなので、客室は基本的に島から伸びる3つのジェッティ(桟橋)につながっている。
バギーは西側のジェッティ3へ向かう。
予約時にジェッテイ3をリクエストしていた我々。どうやらリクエストが通ったようだ。
ビーチから一直線に伸びるジェッティ3。
なんて美しいんだろう…。
長く延びるジェッティ…。そしてこの海の色!
ジェッティフェチの私としては、もうどれだけ見ても見飽きない。
ヴィラが見えてきた。
近年のモルディブリゾートの洗練された雰囲気に比べると、あまりにもナチュラル。
そういえば、パンフレットの写真を見たママは、「掘っ立て小屋みたい」と言っていたっけ…。
でも、我々男の子からすると、なんとなく冒険心をくすぐられるというか、どこかわくわくするような雰囲気がある。
子供の頃憧れた秘密基地のような…。
さて、そろそろジェッティの先端。
「正面に見えるのが、お客様の滞在される#38のヴィラです。」
ん？我々がリクエストしたのは、正面じゃなくて右側の#39だけど?
なんと、「レジデンス」から「スパ・レジデンス」へアップグレード!
い…いいんですかぁ??
どどん!とベッドが真ん中に。
水上ヴィラという事もあり、蚊が全くいないため、蚊帳は全く使用しなかった。
ベッドの上にもファンがあるが、蚊帳が邪魔であまり風が来ず…。
部屋の隅にあるチェストの中には、なんとテレビ。
DVDプレイヤーも接続されていた。
次男くん、海を眺めて大興奮。
海を眺める絶好の位置には、デスクとデイベッドが。
このデイベッドにシーツを敷いてもらい、エクストラベッドにする事も可能だ。
デスクの上には、リゾートホテルの写真集。
こういうのはリゾートでぼーっと眺めるのには最高だ。
インヴィラダイニング、スパのメニュー、アクティビティの案内等。
この冊子もナチュラルな雰囲気で、リゾートのこだわりを感じる。
ヴィラ内は無線LANも飛んでいる。
ただし、ヴィラが広すぎるのか、リビングを挟んで反対側のバスルームまで行くとつながらなかった。
人工物はできるだけ使わないというのが、ソネバギリの頃からのこだわり。
電気のコードも植物の蔓のようなカムフラージュがされている。
ここにはトイレも。
バスルームにもあるが、なにせヴィラが広いので、意外と重宝した。
バスタブを挟んで、左右にベイスン。この配置は好きかも。
バスタブからは、美しい海を臨める。
「Three Palm Island」も見えていい感じ。
こちら側の海を泳いでいる人はあまりいないが、沖の方は船がよく通る。
タオルは十分な量が用意されている。
このタオル掛けがナチュラル感たっぷりでリゾートのテイストによく合っている。
こちら側にはスーツケースを置くスペースがある。
鏡の前にはハンガーがたっぷり用意されていて、洋服がたくさんあっても安心だ。
印象的なU字形のソファ。
真ん中の床はガラスになっているが、リビングと同じく魚は滅多に現れない。
ベッドルームにもあったが、ここにもトイレがあって便利。
奥にはシャワーブースも。
シャワーブースへの通路脇には、海へとエントリーできる階段が。
潮の満ちる午後には、大人でも足がつかないくらいになるので注意。
シャワーは固定式のレインシャワーが2つ。
通常のものに比べ、アロエベラジェル等、シャンプー類は充実している。
ここまでは、通常のレジデンスと同じ作り。
スパ・レジデンスには、こちら側にもスペースがあるのだ。
通路の奥にもう2部屋。
そして、海へ降りる階段がもう1つ。
手前側の部屋は、なんとフィットネスルーム。
とても立派な機材だが、残念ながら我々にこういう物を使う習慣はなく…。
そして、その奥にはサウナが。
こちらもサウナ好きには嬉しいのだろうけど…。
と、いうわけで、スパ・レジデンス専用の豪華施設を一度も使わなかった我々であった。
