小屋場只只17 総括

只只という名前の通り、ただただ海を眺めているだけという過ごし方が一番合う宿。オーシャンビューの宿は数知れないが、ここはどこにいても海が見える。ここまで徹底したオーシャンビューは初めてだ。海側には壁が一切なく、全て磨きこまれたガラスになっていて、視界が広く爽快感も並外れている。
一日一組限定で、当然他のゲストもいないので、まるで自分の別荘のような感覚だ。スタッフもプライベートを大切にしてくれ、気兼ねなく過ごせる。



大津島は瀬戸内海の離島とはいえ、意外にアクセスがいい。自然豊かな島で、商店も少ない。何もないと言ってもいいほどの島だ。それだけに、何もしないという贅沢な時間を過ごすには最適。

宿の中は、アート作品やアンティークの家具で飾られており、どこを見ても非常に絵になる。デザインを重視しすぎて使いにくい備品があるほど。私はそれも宿の個性だと思うし、大いに気に入っているが、問題が1つ。子供が何かを壊してしまわないか心配で、くつろぐどころではないのだ。
部屋に飾られている作品や家具は、高価な物が多いらしく、子供が触っていたりすると、気になって仕方がない。大人だけで来るべき場所だったのかもしれない。



スタッフは少々シャイな感じだし、こちらのプライベートを大事にしているようで、あまり自分たちからこちらのエリアに立ち入って来ない。でも頼めば全力で応えてくれるし、子供がスタッフエリアに行った時にはよく遊んでくれて助かった。大きなホテルにはない温かさを持っている感じだ。
彼らは大津島に住んでいて、夜9時にもなると自宅に帰ってしまう(緊急用の携帯電話を渡されるので、もしもの時には連絡できる)。我々は夜中にスタッフにお願いするような事は基本ないので気にならなかった。

気になった点が1つ。ここのオーナーだ。客をもてなすよりも、自分が楽しむことに主眼を置いている感じがする。自分が宿で寛いでいる写真を部屋に置いておく神経はどうしても理解できない。「ここは俺の別荘だけど、今日は特別に君たちに泊まらせてあげるよ」感を強く感じてしまうのは、我々だけなのだろうか。