リゾートについて語るときに我々の語ること

ホスピタリティーが素晴らしいリゾートといえば？と聞かれれば、多くの人がアマンリゾートの名を挙げるだろう。日本の老舗旅館にインスパイアされて設立されたこのリゾートには、その高いホスピタリティーを示す数多くの逸話がある。だが、それをご紹介するのは今回の主題ではない。我々が語りたいのは、ホスピタリティーにおて、アマンを上回るほど評判が高いリゾートなのだ。 我々の狭い知識範囲の中での話で恐縮だが、アマンを上回るホスピタリティーを持つリゾートは、2つある。1つはモルディブの「アイランド・ハイダウェイ」。もう1つが今回の主役。バリ島の「ザ・クラブ・アット・ザ・レギャン」だ。 「アイランド・ハイダウェイ」とも共通する、レギャン最大の魅力は、なんといっても専属バトラー制。滞在中は、専属のバトラーが24時間常に面倒を見てくれる。ルームサービスや部屋の清掃はもちろん、観光の手配やレストランの予約、スーツケースのパッキングに至るまで、ありとあらゆる事をお願いできるのだ。 さらに、部屋のミニバー、パブリックスペースのバーやプールサイドで提供されるドリンクはコンプリメンタリー。ホテル内にいる限りはほとんどお金を使う必要がない。チェックアウト時の清算金額を気にすることもなく、リラックスして過ごせる。 実はこのホテル、アマンの創始者である、エイドリアン・ゼッカーが手がけている。ただ、アマンのように辺境ではなく観光客ひしめくレギャンビーチに建てられているし、ヴィラのデザインも、その土地の建築を色濃く反映するアマンとは違い、非常に現代的でスタイリッシュだ。アマンとは全くコンセプトの違うリゾートではあるものの、そのホスタピリティーは、アマンのDNAを受け継いでいる。 2008年4月、初めて訪れるバリで、我々はこのリゾートを選んだのだった。

ザ・クラブ・アット・ザ・レギャンは、全客室がヴィラタイプ。今回、我々が宿泊した1ベッドルームヴィラをご紹介する。 リビングルーム。ここはあまり利用しなかった。くつろぐ時は屋外のデイベッドが快適だったように思う。 ミニバーやテレビもここにある。これまたコンプリメンタリーのお菓子も置かれている。 ベッドルームは少々狭い感じだが、ベッドは十分すぎるほどの広さ。この裏にデスクの置かれたスペースがある。 バスルームにはフラワーバスの用意が。しかし、だいぶ前に用意されたもののようで、お湯が冷たくなってしまっていた。 別の日にも用意してくれた。このバスタブ、巨大すぎて足を伸ばせるどころか底に寝てしまえる。お湯がなかなかたまらないので注意が必要だ。 アウトサイドにあるガゼボ。朝食はここに用意される。寝転がれる広さで、朝食後もずっとここでダラダラしてしまう。 ガゼボから見るプライベートプール。長辺は10mほどあるだろうか。泳ぐにも十分な広さ。プライベートプールとしては、かなり大きい部類ではないか。

今回はパブリックスペースを紹介する。 ザ・クラブ・アット・ザ・レギャンのパブリックスペースは、必要最小限といった感じ。このパブリックプールと、その脇にあるバーぐらいだ。ヴィラに篭るのを想定しているのだろうか。 このバーで提供されるドリンクもコンプリメンタリー。プールの周りに置かれたデイベッドが非常に居心地よかった。 続けて、道ひとつ隔てた向かい側のホテル「ザ・レギャン」へ向かう。我々が泊まるクラブは、ザ・レギャンの姉妹ホテルなのだ。クラブへ宿泊しているゲストは、ザ・レギャンのパブリックスペースを自由に使うことができる。(その逆は不可) ザ・レギャンはクラブとは対照的に、オン・ザ・ビーチのビルディングタイプだ。クラブ仕様ではないので、バトラーはつかず、数々のコンプリメンタリーのサービスもない。ただし、その分リーズナブルだし、ほとんどの部屋はオーシャンビュー。どちらを選ぶかは好みによるところだ。 プールサイドを通り抜け、ホテル前のビーチへ。ビーチ沿いにはデイベッドが並んでおり、座ろうとするとスタッフがタオルを敷いてくれる。 海は波が高く、遊泳よりもサーフィンに適していそう。デイベッドでくつろいでいると、目の前の海に日が沈んでいく。何もせずに夕日を眺める時間が最高だった。

ザ・クラブ・アット・ザ・レギャンについてのまとめ。 スタイリッシュでゆったりとした作りのヴィラは、くつろぎスペースも多く、かなり居心地がいい。ヴィラの中はあまり外の光が入らない作り。照明も間接照明のみでかなり暗く、落ち着いた雰囲気。ただし、日中等明るい所に出たければ、アウトサイドにもガゼボ、デイベッドと充実している。 ついついヴィラに引きこもってしまうが、四方を壁で囲まれていて、景観は全くのゼロ。ここはちょっと物足りないところか。パブリックスペースも同じく景観ゼロだが、ザ・レギャンのパブリックスペースを利用できる。ただし、ザ・レギャン側のプールサイドやビーチはかなり人が多いので、くつろぐには不向きかも。 さて、バトラーのクオリティはどうだっただろうか。 一言で言えばすばらしい仕事をしてくれた。身の回りの事を全てやってくれる快適さはもちろん、それが一人に集約されている事の意味は大きいと感じた。こちらの食事の好みや滞在スタイルを学習し、サービスレベルがどんどん上がっていくのだ。 例えば、その日のディナーも、こちらの好みに合わせたレストランを提案してくれる。もちろん予約もお任せだ。コーヒーを一杯淹れてもらうにしても、好み通り淹れてくれるので、いちいち細かく指定する必要がない。 また、ゲストとの距離感もかなり気を使っているようだ。最初に、ずっと近くにいた方がいいか、離れて待機していた方がいいか聞いてくれ、その後もゲストの様子を見て距離感を微調整しているようだ。そのおかげで、邪魔だな、と思う事もなく、連絡がつかなくて困ることもなかった。 我々が一番重宝したのが、ランドリーサービス。 リゾート滞在で意外とストレスになるのが洗濯物だ。ランドリーサービスを頼むのもいちいち面倒だし、下着等の小物なんかを頼むのもちょっと考えてしまう。かといって、バスルームで夜な夜な自分の手で洗濯するのもなかなかの手間。いっそのこと、洗濯機を置いてくれと思ってしまう。 しかし、ここでは洗濯籠に放り込んでおけば、バトラーがピックアップしてすぐに洗濯してくれる。もちろんコンプリメンタリーなので、料金を気にする必要もない。これがあるだけでも滞在の快適度は飛躍的に上がるのだ。 まさにストレスフリーな滞在が約束されるこのリゾート、ぜひ体験して欲しい。